カテゴリー「教育費」の3件の記事

子ども手当全額支給を

 子ども手当が、半額のままで、その後のフォローがなさそうである。

 私は子ども手当に賛成である。子育て、教育というキメの細かさが必要な領域に、予算措置によって、必要なところに資金を届かせることは難しいからである。予算を通じると、かならずいろんな規制や制限がつく。それより、必要とする側のニーズにいかようにも合わせられる形がいい。

 控除から手当へという考え方も正しい。控除では、税金を納めている人にしかメリットがない。手当なら、全員に行き渡る。

 ただし、このデフレの時代に子ども手当を出すならば、「使ってください」というキャンペーンをいっしょにすべきだと思う。
 「みなさん、いま、お子さんのために一番よいと思うことに使って下さい。これは、一回かぎりではなくて、先々まで継続的に支給されますから、安心して使ってください。みなさんの使ったお金が世の中を回って、みんなが豊かになれるのです」
 と伝えるべきだと思う。
 その上で、全額支給すべきだと思う。

 子どもの養育費と教育費は、家計のなかでも優先順位の高い費目である。
 政府が赤字国債を組んで、積極的に支出を増やし、景気の維持をしている時代である。子どものためにどんどん使ってもらうのがよろしいのである。貯蓄されるのは困る。

 現実には、厚労省の調査によると、子ども手当の4割が貯蓄されたそうである。日本で、収入が増えたときに貯蓄に回る率は平均して3割程度と言われているので、それより高い。
 けっきょく、高等教育の費用がすごくかかるので、それへの備えをする、という家庭が多かったのであろう。

 大学や専門学校の学費負担の軽減のほうが、優先順位が高い、ということでもある。

 高校の無償化は、よい政策であった。当たり前のことであり、遅きに失したとは言え、高く評価できる。そして、高校だけでなく、高等教育の無償化も進めるべきである。日本の高等教育の私費負担率はたいへん高い。

 しかし、根本的なところの問題がある。いま、財源はないだろう、ということである。ほんとうにないであろう。国家予算が89兆、国家税収が37兆というのは、どうみても異様な事態である。国債発行という借金でしのいでいるのである。
 このままだと、近い将来に国債発行が限界に達し、金利上昇を招くであろう。つまり、高い金利をつけないと国債が売れなくなる。そのとき、不景気と高金利がいっぺんにやってくる。そうなれば、公共サービスを維持するには、国債の日銀引き受けしかなく(巧妙に迂回する手段はあるが、本質は同じ)、最後は大インフレになるであろう。ソ連崩壊後のロシアで起こったことと似たことが起こるであろう。

 増税なしに、社会保障を充実させるのは無理である。教育は、増税してでも、高等教育までの無償化を目指すべきである。
 民主党ブレーンである神野直彦教授のいうように、「財政も立派な経済である」と掲げるべきだと思う。

 管首相が消費税10%を言って、不評のためたちまち引っ込めたが、あれは、出した以上は貫くべきだったと思う。自民党が消費税増税を言い出したから民主党も言ったという感覚自体は悪くない。
 そうでなかったら、事業仕訳を徹底的にやり、「もう鼻血も出ません」というところまでやってから、消費税を言うべきだったと思う。

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公共事業費より教育費のほうが景気浮揚になる

 北欧諸国などに、教育費がまったくタダという国々がある。

 公立でも私立でもタダ。
 幼稚園から大学までタダ。

 フィンランドでは、高校や大学が無料なだけではなく、家庭を離れて下宿する学生のための補助金まで出している。
 スウェーデンは私立大学が3校あるが、これも、いずれも無料である。

 こういう高福祉の国々は、高度成長期だから、産業発展の余力を福祉に回すことができたと考えられてきた。しかし、あんなに福祉に金を使っていたら、いずれはポシャるのではないかと見られてきた。
 ところが、高度成長期を終えたあとも、これらの国々はポシャっていないし、むしろ経済活力を増してきている。

 90年頃、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドは、日本と同じようなバブルに見舞われた。GDP比で、日本と同じくらいの不良債権が発生している。ところが、その後の立ち直りが早かった。日本は15年かけてやっと景気が持ち直したが、かわりに国が公共事業につぎ込んだ金がそっくり国債のツケとなって残っている。
 スウェーデンは、5年で景気も回復したし、財政も黒字になっている。

 公共事業に金をつぎ込むより、教育や福祉に金をつぎ込んだほうが、金が生きるのである。

 先進諸国の不景気は、生産に対して消費が少ないことが原因である。資金のうち消費に向かう部分が少なく、もっともうけるための設備に投資される。それが、過剰設備になり、不良債権になっていくのである。資金が土地や株式に流れ込めば、バブルになる。
 だから、過剰設備やバブルに回る資金を税金で吸い上げて、教育や福祉に使ったほうが世の中の金の循環がよくなるのである。教育費や福祉費のほとんどは人件費であり、さほど裕福ではない給与生活者たちに渡る。かれらは、生活のために収入のほとんどを消費に使う。それで、景気の下支えができるのである。

 ケインズは、不景気になったら、砂漠に穴を掘れと言ったそうである。無駄な公共事業でも、景気を浮揚できると。しかし、無駄でない需要を起こすほうが、もっと経済に良い。 

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高等教育に至るまでの教育費無償

 文部科学省の「教育振興基本計画」意見募集に次のような意見を提出しました。

 生涯教育体系を構築したいなら、高等教育まですべて無償にせよ。実現している国はたくさんある。そういう内容です。

  *  *  *  *  *  *  *  *

 中等教育、高等教育にいたる全教育体系を漸進的に無償とすることを教育振興基本計画に盛り込むことを提言します。

 生涯教育体系の構築は、中等教育と高等教育の無償化がなければ、絵に描いた餅に終わるのではないでしょうか。いったん社会に出て自活している人たちにとって、授業料を払って学校に行くことはたいへんに困難です。生涯教育を実現している諸国では、高等教育の無償が実現しています。たとえば、スウェーデンでは私立大学も無償です。
 当研究所では、成績は良いが経済的理由で大学進学をあきらめた高校生、奨学金が貸与であるため返済の負担を考えて専門学校進学を躊躇した青年、貧困のため高校の授業料支払いに事欠いてもそのことを隠している家庭などに接しています。
 教育費の自己負担比率が高いことは、貧富の差を大きくし、社会を不安定にします。

 社会権規約第13条第2項(b)(c)は、中等教育及び高等教育の漸進的無償を定めています。この条項を批准していないのはウガンダ、マダガスカル、日本の3ヵ国だけです。
 社会権規約第13条第2項(b)(c)を早急に批准し、その予算措置を講じることは、まさしく教育振興基本計画にふさわしい内容です。

 初等教育から高等教育に至る全学校教育無償化に必要な資金は約5兆円です。日本の学校教育予算はGDP比約3.8%ですが、これをOECD諸国平均5.0%に引き上げるのに必要な額が約6兆円です。中等、高等教育の無償化を無視したぶんだけ、日本と世界の教育費に差がついたと見なすことができます。
 財源としては、消費税率の2%が5兆円に相当しますので、消費税率を引き上げて充当することがもっとも実現しやすいと思われます。

 歴史的経過から、教育は個人の成功のための支出であるから自己負担すべきであるという考え方が日本に広く浸透しています。これが日本の教育予算のGDP比率が漸減していった根本的原因であると思われます。文部科学省におかれましては、教育を受ける権利は経済条件によらないとする憲法第26条および教育基本法第4条を掲げ、社会権規約第13条第2項(b)(c)を早急に批准し、予算獲得に最善を尽くすべきと思います。

 消費税引き上げの論議がある中、文科省は「憲法の要請である」として予算獲得に名乗りを上げるべきではないでしょうか。

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