カテゴリー「学習科学」の1件の記事

勉強を好きになる七つの道

 朝日新聞2010年7月20日朝刊に、元巨人軍投手、野球評論家の桑田真澄氏が、「野球を好きになる七つの道」を提案していた。スポーツでの不合理な精神主義、訓練主義に疑問を出したものだ。
 やっとこれを言ってくれる人が現れたと、桑田氏に心からの尊敬を感じた。その七つの道というのは、

 一、練習時間を減らそう
 二、ダッシュは全力10本
 三、どんどんミスしよう
 四、勝利ばかり追わない
 五、勉強や遊びを大切に
 六、米国を手本にしない
 七、その大声、無駄では?

 ちょうどそのとき、文部科学省が主宰してネット上で「熟議カケアイ」という議論の場があり、その「未来の学校」というエリアでこの「野球を好きになる七つの道」が紹介されて話題になった。

 私もその「熟議カケアイ」に参加していたので、じゃあ、とさっそく、勉強でのバージョンを作った。好評だった。
 それじゃあと、信濃毎日新聞のコラムに、「勉強を好きになる七つの道」を書かせてもらった。それも、読者からよい反応があった。
 このようなものである。

一、勉強時間を減らそう
 学校のことはなるべく学校で済ませよう。子供は全身全霊をあげて現在に生きている。内発的な探索本能と、スキルを向上させる欲求が、子どもを動機づけている。子どもの脳は、そのような構造になっている。”勉強”だけが学びではない。

二、計算や漢字練習は全力10分
 反復練習が必要な分野もあるが、ほんとうに集中できる時間と回数は、そう長いものではない。小学校低学年では、10分でも無理である。分量だけやらせても、何も残らない。果たして何分が適切であるかは、年齢差や個人差が大きいので実証的な研究が必要だが、とにかく現在の指導は非科学的である。

三、どんどんミスしよう
 ミスを怖れると、自分で考えなくなって、権威者に頼り正解だけ貯め込もうとする。子どもがミスをすると指導者が叱ったり皮肉を言ったりしているのは、「学び」がわかっていない証拠。

四、点数ばかり追わない
 点数至上主義になると指導者が手段を選ばなくなる。時間や分量ばかりこなさせる、勉強以外のことを制限する。結果だけ詰め込む。これらは子どもが一人の人間であることを忘れている。

五、ぼんやりや遊びを大切に
 こどもがよく、何もせずテレビも見ず、ただぼんやりとしている。これは、刺激を避けて、自分の内面に根付こうとしているのである。子どもにとって、活動と休息、集中とぼんやり、お祭り騒ぎと静かな手作業、そのような両極の間を動くリズムが大切。

六、頑張り屋を手本にしない
 たまたま頑張れるタイプもいるというだけのこと。「○○ちゃんはあんなにやっているのに、なんでお前は」は最悪。他人と自分は、違うに決まっている。誰だって、他人と比較されるとやる気をなくす。

七、その小言、無駄では?
 小言が多いのは、子どものことを見通せていないとき。いくら言っても、子どもは変わらない。それより、子どもとの生活を楽しむこと。

 目標を押しつけ、やたらと時間を投入させ、失敗すれば叱りつける指導なら、素人でもできる。しかし、苦しませたわりに結果は出ないのではないか。副作用も大きい。それは、スポーツでも学びでも同じである。

にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ  応援クリックのためのバナー

| | コメント (2) | トラックバック (2)