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ソ連を怖がったため、ソ連と同じになってしまった体制(2)

 前回の続きです。なぜ、日本の教育は民意反映システムを作っていないのか、についてです。

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 戦後の社会システム作りに大きな影響を及ぼした自由民主党は、自他ともに認める反社会主義の政党であった。自民党は、経済・文化活動の自由、言論の自由、多党制民主主義の原則に立って、社会システム作りをしている。

 ところが教育に関しては、とんでもないシステムを作った。教育システムには、民主主義原則が存在していないのである。文科大臣から一教員にいたるどこにも、民意によって任命される役職が存在していないのである。

 どうして自民党は、こんな社会主義国と同じような体制を作ったのだろうか。

 具体的に2点あると思う。一つは、自民党に、教育の国家管理が必要であるという人たちが多かったことである。もう一つは「学校が、左翼思想を吹き込むことに使われる」ことをたいへんに警戒していた。

 教員組合を封じ込めることが、自民党にとっての大きな政治課題であった。そのため、自民党はあまりに無原則なことをした。教員の発言権を削ぎ、教育の地方自治を侵し、保護者・住民の発言権を奪ったのである。

 これは、教育に問題があったときの自律的回復能力を奪ったに等しい。

 それをやったのが「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(昭和31年)という法律である。この法律ができたときに、半世紀後の教育崩壊が決まったようなものだと思う。

「これでは、民意反映システムのない社会主義国と同じ仕組みになってしまう」という発想が、この法律を作った人たちになかった。

 日教組憎しで、ここまでやってしまうのである。
 人は、自分の持つ欠点に気付いていないと、同じ欠点を持つ人や団体を嫌悪し怖がるものだ。

 国家主義教育をやりたかった自民党は、社会主義国の国家主義教育がたまらないものに見えるのである。
 ソ連のような”洗脳教育”を怖れるなら、民意反映システムと教育選択の自由を教育に作るべきだったはずだ。ところが、自民党は「教育の中立性を守る」ために、国が教育を監督するシステムを作ったのである。

 それは、ソ連を怖がったために、ソ連と同じになってしまった体制である。

 それはまた、屈折した権力欲の現れでもある。「あんな悪い奴がいるから、私がコントロールするしかない」は、子どもを支配する親から、会社の派閥闘争、国家の国民統制にいたるまで、権力欲を自覚できない権力者の自己欺瞞なのである。

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コメント

古山先生、書籍にできなかったものを含めて電子書籍を出すということは考えていらっしゃいませんか?

ソ連を怖がった結果、日教組がおかしな教育をしているのはどうしてなのでしょう?

私が受けた小学校の歴史教育は謝罪反省会のようでした。

大人になると義務教育には学校に行く行かないの自由がなかったことに憤りを感じます。

親は子供が嫌がっても、こんなことじゃ社会に出られないと言って認めませんしね。

日本ぐらい管理された社会はないのでしょうね。

投稿: みかん | 2013年7月 1日 (月) 14時47分

学校の教育がおかしいと思うならば、生徒あるいは保護者から意見が出て、教師側を含めてみんなで話し合うようにすべきです。また、多様な教育を認めて、選べるようにすべきです。
そうではなくて、国が教育内容を管理しているため、ソ連と同じような硬直した官僚運営のシステムができました。

投稿: 古山 | 2013年7月 2日 (火) 08時06分

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