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2007年6月

大矛盾ではなかったが

 6月13日のこのブログで、教員免許法改正案中の「効力は十年」とする条文と、「有効期限を定めない」とする条文に矛盾があるのではないかと述べた。その後よく調べ、他の条文と読み合わせると、明確な矛盾とまで言えるものではなかった。
 免許法改正案は成立した。しかし、いろいろと問題をはらんでいるので、解説したい。

 免許法改正案の構造は、ごくおおまかに説明するとこのようなものだった。

○ 免許状の効力は10年です。(第9条)

○ でも、旧免許状は、有効期限なしです。(附則第2条)

○ 現職教員は、期限までに講習を修了しないと、免許が失効します。(附則第2条第5項)

○ ペーパーティチャーは期限切れでも失効せず、講習を受ければ先生になれます。(附則第2条第7項)

 これは、ペーパーティーチャーの免許失効を救済し、また、たくさんのペーパーティチャーが講習に押しかけてしまうのを防ぐための、苦肉の策であったのだろう。
 現職教員は期限切れで失効するが、ペーパーティーチャーは失効しないとしたのである。

 しかし、この構造はちょっとやそっとでは読み取れない。こんなわかりにくい法律を作ってはいけない。
 その他、問題点を列挙する。

・ 現職教員は講習を受けないと失効して免許状を返納しなければならないが、ペーパーティーチャーは講習を受けなくて期限切れになっても、講習を受け直すだけで先生になれる。
 これはおかしい。

・ いわゆる不適格教員として指導を受けている教員は、免職される前に退職してしまえばよい。そうすれば、免許が失効しなくてする。

・ 附則2条の「有効期間の定めがないものとする」と同条5項の失効条項に優先順位がつけていない。つまり5項には「附則2条第1項の規定にかかわらず」という文言が必要なはずなのに存在しない。これは、ミスではないか。
 附則2条第1項をタテにとって、「失効しないはずだ」という主張があり得る。


・ 断続的に勤務する非常勤教員が、現職教員なのか否か不明である。

・ 第9条に免許状の効力を10年としているが、これは、「新法施行以降に発行する免許状は」と限定すべきである。大きな混乱を招く。
 
・ 附則2条の、旧免許状には有効期限を設けないとする規定は、
 本則にすべきである。附則は、あくまでも例外規定であるべき。

・ 免許期限は10年 
 → でも、旧免許状は有効期限の定めなし 
 → でも、現職教員は10年で失効
 この構造自体に無理がある。現職教員だけでも約百万人、ペーパーティチャーも含めれば、さらに多い数の人が適用を受ける法律が、こんなにわかりにくくてはいけない。

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「効力は十年」と「有効期限を定めない」の矛盾

 「教育ニュース観察日記」というブログが、免許法改正案にとんでもない矛盾があるのではないかと指摘していた。

「教育ニュース観察日記」 私的解説・教育改革3法案

 実際に調べてみたら、私もうなづいた。
 免許法改正案第9条と、附則第2条の間の矛盾である。

 第9条 普通免許状は、その授与の日の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日まで、すべての都道府県において効力を有する。

 附則第2条
 .......普通免許状又は特別免許状を有する者については、第1条の規定による改正後の教育職員免許法第9条第1項及び第2項の規定にかかわらず、その者の有する普通免許状及び特別免許状には、有効期限の定めがないものとする。

 9条は「効力は十年間」と言い、附則2条は「有効期限の定めなし」と言っている。

 文科省側にはなにかしら独特の説明があるのだろうと思うが、さらりと読むと、矛盾としか思えない。

 教育3法は、ものすごい強行スケジュールで法案作成がなされたので、文言の検討が不足しているのではないか。また、この附則第2条は、見つかりにくいところにあるので、いままでの国会審議で見過ごされたことも考えられる。

 普通の人間にはこの免許法の条文は理解し難い。免許更新制の対象者は、現職教員だけでも100万人もいる。普通の人たちにわかる法律でなければまずいであろう。
 
 国会会期はあと十日であるが、国会議員たちが気付けば、「この文言での国会成立は無理」の可能性すらあるのではないか。

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免許更新制は実効がない

 教員免許更新制を導入する法律が、参議院で審議中である。しかし、この法案は「これで問題教員を排除できるのだ」というムードを政治力で押しこんでいるだけだ。この法律には実効がなく、金と労力ばかりかかり、現場は疲弊し、関係ないペーパーティチャーを巻き込んでしまうだろう。

 10年ごとの教員免許更新制は、問題教員の排除が目的だとみなされがちだが、実際は問題教員排除に役立たないと考えられる。理由は、

・問題教員がいたとして、最長10年待たなければならない。
・問題が起こったときになんらかの対処は為されたはずである。解決済みの
 問題を蒸し返すことになる。
・すでに「指導力不足教員の人事管理」が機能していて、屋上屋を架する。
・更新を拒否できるほどの客観的な適正検査は存在しない。

 ネット上でさまざまな角度から説得力ある論が出ているので紹介する。

教員免許、更新制導入は再考を  佐久間亜紀
朝日新聞「視点」に投稿されて、話題になった。

教員免許更新制の範囲
ジャーナリスティックな観点から、今回の更新制の政治劇を
よく捉えている。

法の建前と現実 第13回 教員免許の更新制について
教員の身分について、法的資料がしっかりしている。

免許更新制と教員受難のパラドクス 刈谷剛彦
刈谷氏は、「ほんとか、ちゃんとデータを示せ」をきちんという人。

教育職員免許法改正案の批判的検討 浪本勝年
免許制度の歴史に詳しく、資料的価値が高い

この法案で、「教員免許」が失効になる人たち 保坂展人
現実的な問題点の指摘

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